モンクレールのロングコートとカナダグースのジャケット。
30代前半に思い切って購入した高級ダウンは、今や私の冬のワードローブの中心的存在です。
しかし、昨シーズン末に気づいたのは、愛用のモンクレールの袖口に小さなほつれと、全体的な「くたっと感」。
「もう買い替え時かしら?」と一瞬思いましたが、20万円以上したコートを簡単に手放すのはあまりにももったいない。
そんな時、友人から教えてもらったのが、特殊ウェットクリーニング製法を採用している高級ダウン専門クリーニング店の存在でした。
これまで利用していた近所のクリーニング店では、「高級ダウンはドライクリーニングしかできません」と言われていました。
しかし、ネットで評判のひらいしやに問い合わせしたところ、ダウンジャケットに最適なのは特殊なウェットクリーニング製法なのだそう。
「全国でも1割以下のクリーニング店しか行っていない技術です」と店員さんが教えてくれました。
この方法だと、ダウンの膨らみを損なうことなく、生地の奥に入り込んだ汚れまでしっかり落とせるとのこと。
さらに驚いたのは、クリーニングだけでなく、高度なリペアも可能だということ。
実はモンクレールの正規店に袖口の修理を依頼したところ、「経年劣化なので対応できません」と断られていたんです。
でも、このお店の専属リペア技師は70年もの経験を持つベテラン。
「こんな傷、よくありますよ」と微笑みながら、見事に修復してくれました。
正直、修理後の仕上がりを見たときは感動しました。新品同様とまではいきませんが、あと数年は十分着られる状態に。
クリーニングの際、オプションで勧められたのが特殊撥水加工。
「消防署認定の技術で、お客様の約4割以上が選ばれています」という説明に、半信半疑でしたが試してみることに。
結果は想像以上でした。
以前はカフェでうっかりコーヒーをこぼした時、すぐにシミになって焦った経験がありましたが、撥水加工後は水滴がコロコロと転がり落ちるように。
冬の急な雪や雨でも安心して外出できるようになりました。
クリーニングに出す際、担当の方が教えてくれた高級ダウンの適切なメンテナンス方法は以下の通りです。
・1シーズンに1回は専門店でのクリーニングを
・着用後は軽くブラッシングしてホコリや汚れを落とす
・保管時は圧縮袋ではなく、風通しの良い場所に吊るして
・汗や雨で濡れた時は自然乾燥を心がける
・小さな破れやほつれは早めに修理を依頼する
高級ブランドのダウンは、適切なケアをすれば10年以上着続けることができます。
むしろ、経年変化で味わいが出てくるのが本物の良さです。
この言葉を聞いて、ファストファッション全盛の時代に、良いものを長く大切に着る喜びを再確認。
40代になった今、若い頃のように毎シーズン新しいアウターを買い足すのではなく、本当に気に入ったものを長く愛用する生活スタイルに自然と変わってきていることに気づきました。
特に印象的だったのは、「日本で3社しか出来ない色の染め変えが可能」という説明。
私自身は利用しませんでしたが、隣で対応していたお客様が、数年前に購入したダウンの色を今年のトレンドカラーに変えたいと相談していました。
日本の職人技術の高さを改めて実感すると同時に、「買い替える」以外の選択肢があることの大切さを学びました。
高級ダウンは確かに高額な買い物ですが、専門店での適切なケアと修理を通じて長く付き合えば、1シーズンあたりのコストパフォーマンスは決して悪くありません。
何より、年を重ねるごとに自分の体に馴染み、思い出も刻まれていく特別な一着になっていくのです。
今年の冬は、新しく生まれ変わった愛用のダウンと一緒に、少し特別な気分で街に出かけてみようと思います。